布施谷信子先生 函館市文化団体協議会 白鳳章受章

 函館音楽協会評議員、布施谷信子先生がこのたび函館市文化団体協議会 白鳳章を受章されました。布施谷先生は1960年にピアノ教室を開き、優秀なピアニストを育成、輩出してきたほか、最前線で活躍するピアニスト、研究者を招いた公演や講習会を開催し、市の音楽文化を支えてこられました。
 布施谷先生の長年のご功績に対する栄えあるご受賞、心からお祝い申しあげます。
布施谷先生より喜びのお声を頂戴いたしました。



白鳳章をいただいて
布施谷 信子

この度は、函館市文化団体協議会より白鳳章をいただき身に余る光栄と心より感謝申し上げております。
私が、函館音楽協会に入会致しましたのは1960年(昭和35年)で、それから50年余りの年月が流れました。
 当時は恩師、林喬木先生が北海道学芸大学の教授として御指導に当たっておられ、函館女声合唱団の指揮をなさり、御活躍されておられました。又、根上義雄先生は、函館西高校で教鞭をとっておられ、ピアノのソロ活動をなさり、火曜会合唱団の指揮もなさっておられました。又、酒井武雄先生は函館中部高校で教鞭をとられ、ショパンの曲を得意とされ、その演奏は柔らかく美しいピアノの音色であった事が思い出されます。
 1988年当時、会長をなさっておられた清水信勝先生の発案により、「ベートーヴェン未録音ピアノ作品ゼミナール」と「ベートーヴェンピアノソナタ32曲全曲演奏会」が催されました。この年の4月、2夜にわたって「ベートーヴェン未録音ピアノ作品ゼミナール」が催され、解説をしながら音楽協会会員の方々が演奏なさいましたが、全33曲のうち不明な楽譜が数曲あり、急遽、東京藝術大学図書館にお願いし、マイクロフィルムから楽譜を見付け出し資料を整えました。とても遣り甲斐のある仕事であったと思っています。
 又、この年の8月に「ベートーヴェンピアノソナタ32曲全曲演奏会」が8夜にわたり催され、こちらも音楽協会ピアニストの総出演となり、1ヶ月半に渡る全曲演奏会が実現しました。私はベートーヴェンの生涯について、人間像についてより深く学びたいと思い、ベートーヴェンに関する本を沢山買い込んでまいりました。当時、北海道教育大学教授片桐誠一先生から「ベートーヴェンの勉強をしているのなら」とおっしゃられ、「ベートーヴェン生涯篇と作品篇 属啓成著」の部厚い2冊の本を頂戴致しました。私の研究に大変役立ち、深く感謝致しております。
 1990年12月に函館市民会館大ホールに於いて、音楽協会秋季定期演奏会おもしろコンサートが催されました。この時に私の主宰しますピアノ教室アカシア会のメンバーと共に18名で参加させていただき、「きよしこの夜」と「もろびとこぞりて」をハンドベル演奏し、皆様に大変喜ばれました。
 その後、御父兄の方々と共にアカシア会主催のチャリティーコンサートを催した事もあり、懐かしい思い出となっております。
 ピアノ教室を始めてから今年で丁度50年の説目に当たり、これを機に私の主宰するアカシア会に縁のある方々をお招きして、2つのイベントを開催致しました。
 1つは8月15日(日)芸術ホールフリールームに於いて、ハンブルグ音楽演劇大学講師、伊藤野笛先生の「ピアノ演奏と公開レッスン」。もう1つは9月5日(日)芸術ホールに於いて50周年記念演奏会を開催致しました。現在、国内外で活躍されている方々をお迎えし、地元函館で活躍されている方々が一堂に会し、演奏会を開催致しました。
 伊藤野笛先生は「ショパン作曲ノクターンNo.15とバラードNo2.」を演奏され、繊細に美しく歌い上げ、豊かな洗練された感覚で聴衆を魅了しました。公開レッスンでは丁寧な御指導をされ、伊藤先輩から後輩へ「『継続は力なり』の格言を大切に頑張りましょう」と激励されました。
 50周年記念演奏会では21名の方々が御出演下さり、立派な演奏をなさいました。演奏された皆様が音楽の世界に真摯に向き合っていらっしゃる事をとても嬉しく思っています。
 音楽は人の心を豊かにし、勇気と慰めと安らぎを与えてくれるものではないでしょうか。
 この度の白鳳章受章を機に心を新たに、更に研鑽を積み、より深く芸術の道を歩んで参りたいと存じておりますので、今後共宜しく御指導、御鞭撻をお願い申し上げます。CIMG0585.JPGCIMG0589.JPG
(左:函館市文化団体協議会の宍戸会長より表彰される布施谷先生)
(右:受賞者を囲む(財団)金山理事長と函館音楽協会会員)