令和3年度函館音楽協会春季定期演奏会および令和2年度函館音楽協会賞・奨励賞受賞記念演奏会

5月30日(日)13:00より、函館市芸術ホールに於いて令和3年度函館音楽協会春季定期演奏会が開催されました。
春季定期演奏会は前年の演奏活動等において、郷土の音楽文化向上の推進力となった個人・団体に贈られる函館音楽協会賞ならびに奨励賞受賞者の受賞記念演奏会も兼ねています。
やむなく緊急事態宣言下の開催となり、会場では入場時の検温をはじめ、換気時間の確保、入場者数の事前把握などできる限りの感染対策が講じられました。
今回は一般8組、令和2年度受賞者として協会賞に池田桂子氏(フルート)、畑中佳子氏(ピアノ)、奨励賞にオークリコーダーアンサンブル(器楽)の計3組、合計11組が出演しました。
ピアノ、ソプラノ、メゾソプラノ、リコーダー、ヴァイオリン、チェロ、チェンバロ、フルートなど会場内は色彩豊かな音色に包まれました。
協会賞受賞の畑中佳子氏は、ショパンのノクターンの他、自身が立ち上げたアンサンブル・モジェ(女声)、Le Lapis(ル ラピス/ピアノ、ヴァイオリン、ウッドベース、カホン)と共に華やかなステージを披露しました。また、同じく協会賞受賞の池田桂子氏は、当会会員でもある作曲家山本和生氏が作曲した「フルート幻想曲 Kaguya」を竹取物語の絵画スライドに合わせて初演し、会場全体をその幻想世界に誘いました。
どの演奏も各々工夫が施され、演奏者それぞれの「伝えたい想い」があふれていました。「ブラボー」の声は出せなくとも、たくさんの拍手が生の音楽が持つチカラの大きさを物語っているようでした。

受賞者の皆様よりコメントをお寄せいただきました。


令和2年度函館音楽協会賞 池田桂子氏

 私の部屋には、今でも音楽協会春季定期演奏会に初めて出演した時の演奏写真が飾ってあります。それを見ては、「初心忘れるべからず」といつも自分に言い聞かせています。
 演奏者として、右も左もわからない私に、当時の会長である清水信勝先生が春定への出演を後押ししてくださいました。演奏曲はドップラー作曲ハンガリー田園幻想曲。「この曲は長いから一度うちの息子のレッスンをうけるといいよ」とご子息である清水信貴氏(現日本フルート協会副会長)のレッスンを段取りしてくださいました。清水先生はきっと分かっていたのです…私の基礎力不足を。信貴氏のレッスンでは、その基礎力不足が露呈し、曲のレッスンもそこそこに、基本練習法のレッスンになってしまいました。信貴氏は「こんなメニューを5年くらいやるといいですよ!」と、あっさり言います。「5年ですか???」「だってアナタ、5年後フルート辞めてないでしょ?」このやり取りがずっと頭の中にあり、フルートを辞めずに45年が経ちました。
 その間、清水先生と共に函館フルートオーケストラを立ち上げ、日本フルート協会の協力の下、日本フルートフェスティバルin函館を11回開催しました。教育活動としては、教育大で10年間フルートの講座を持たせてもらいました。その後函館を留守した3年間は、ドイツのベルリンで沢山の音楽仲間と出会うことができました。そしてその出会いをきっかけに、物語付きフルート二重奏曲「竹取物語」のドイツ公演が実現しました。
 顧みますに、私の笛人生の節々に清水先生が大きく関わっていてくれて、だからこそ今の私があるのだと思います。この度受賞記念演奏で「風よまわれ」を演奏させていただきました。清水信勝先生作詞 広瀬量平氏作曲の同名の合唱曲を、フルートソロ用に編曲したものです。清水先生への感謝の念を忘れることなく、これからもこの曲を演奏し続けるべく、演奏活動に精進して参ります。そして希望を持った若い芽を育てていけるよう、教育活動に邁進していく所存です。
 最後になりましたが、この度の受賞に際しまして、音楽協会会員の皆様、各音楽関係の皆様にこの場をお借りしまして厚く御礼申し上げます。ありがとうございました。


令和2年度函館音楽協会賞 畑中佳子氏

 この度はこのような大きな賞をいただき、大変光栄に思っております。
 大学卒業後に高校の非常勤講師として函館に戻り、大学の同窓会支部の皆様がとても暖かく迎え入れて下さり、安心と心強さを感じました。函館音楽協会にも入会させていただき、幹事の仕事を通して演奏会の運営なども経験せていただきました。演奏活動でもすばらしい方々との出会いがあり、とても多くのことを勉強させていただきました。私を育てて下さったのは函館音楽協会だと深く感謝しております。また、合唱指導の勉強のために入団した函館MB混声合唱団は世代や職種に関係なく交流できることも魅力的で、この2つが私の活動の大きな柱となりました。
 1999年にアンサンブル・モジェという女声ア・カペラグループを立ち上げました。モジェはポーランド語で「海」という意味で、函館以外での活動も考えて選び、札幌、小樽、旭川、宝塚にも足を運び、あっという間に20年以上が過ぎました。今回演奏したホルストのAve Maria(8声)を歌いたくて必死に8人集めたのが始まりです。また、ル・ラピス(ヴァイオリン、ピアノ、ウッドベース、カホン)は音楽をもっと身近に感じて楽しんでもらいたいという願いを込めて活動を始め、もうすぐ10年を迎えます。
 協会賞の重みに身が引き締まる思いですが、メンバーに恵まれ、たくさんの方々に支えられていただいたとても大切な賞だと思っております。心より感謝して今後も精進して参ります。


令和2年度函館音楽協会奨励賞 オークリコーダーアンサンブル代表:岡部浩美氏

 令和2年度、函館音楽協会奨励賞をいただきまして、メンバー一同驚きと共にとてもうれしく光栄に思っております。
 昨年の秋季定期演奏会でのバッハの演奏は、速度や和音など何度も合わせをしながら調整し、私たちもとても勉強になりましたし、聞いて下さったたくさんの方々にお褒めの言葉をいただきました。
 そして先日の春季定期演奏会では、来場されるお客様により楽しんでいただける様、おなじみの日本の曲、日本人作曲家の現代曲、有名なアイルランド民謡をジャズ風にアレンジした曲と欲張って3つの曲を選曲しました。
 リコーダーの様々な音色や表情を、また普段は聞ける機会の少ない大きな楽器も、見て聞いてお楽しみいただけたのではと思っております。
 また、今回の春定の開催につきましては、この様な状況の中、事前の準備から、
当日会場でお客様が入場されて終了後お帰りになるまで、幹事の皆様には大変ご苦労も多かったことと思います、お疲れ様でした。
 この様な時だからこそ、演奏会を楽しみにしていて下さった方がたくさんいらっしゃったのではないでしょうか。
 今回の受賞を励みに、今後もますますリコーダーの普及活動に尽力し、一人でも多くの方に素敵な音色をお届けしたいと思っております。



令和3年度函館音楽協会春季定期演奏会
令和2年度函館音楽協会賞・奨励賞 受賞記念演奏会

日時:令和3年5月30日(日) 12時15分開場 13時00分開演
会場:函館市芸術ホール 
チケット:一般1000円 学生500円(中学生以下無料)
チケットご予約/お問合せ:080-6859-8462(チケットは事前にご予約ください)

後援
函館市 函館市教育委員会 公益財団法人函館市文化・スポーツ振興財団
函館市文化団体協議会 (株)河合楽器製作所函館ショップ
(株)ヤマハミュージックリテイリング函館店 北海道新聞函館支社 函館新聞社
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