2022年会長新年ごあいさつ

新年あけましておめでとうございます。
皆様には、健やかに新春を迎えられたことと、お慶び申し上げます。
昨年は、コロナ禍におきましても、会員皆様の多大なご協力をいただき、5月の春季定期演奏会、8月の学生コンサート、9月のジュニアコンサート、10月の秋季定期演奏会と、予定していた事業をすべて開催することができました。会員の皆様、そして日頃よりご支援を賜っている皆様に心より厚く感謝申し上げます。
今年も上記の事業が予定されています。会員皆様の定期演奏会への積極的なご出演、そして、ご指導されている生徒さんの学生コンサートやジュニアコンサートへの参加を昨年にも増してご協力いただきますようお願いいたします。

さて、この2年余りの間には、ホール等で聴くオーケストラやオペラ・ミュージカルなどの生の音楽が消えた時期がありました。しかし、今や、様々なメディアをとおして収録された音楽や映像等が手軽に見聞きできる時代となり、その音楽によってコロナ禍で鬱々とした心が癒された、という方も多いと聞きます。
かたや、その利便性が「生の音楽の不在」を覆い隠してはいませんか、と我々に呼びかけ、コロナ禍で音楽がどういう目にあったのか、を音楽学者の視点で纏めた本がありました。「音楽の危機≪第九≫が歌えなくなった日」2020年の5月、緊急事態宣言下で書かれ、同年9月に中央公論新社から発行された岡田暁生の著書です。
2020年に世界的なコロナ禍でライブやコンサートが次々に中止になり、音楽が消える事態に陥ったその状況を時系列で記録し、このパンデミックの時代に音楽の未来はどうなっていくのか、を追求した内容で、2021年8月、第20回小林秀雄(文芸評論家。「落葉松」の小林秀雄と同姓同名)賞を受賞。新聞社の書評も良く反響が大きい、とのことで、私も読んでみました。
読後の感想は様々ありますが、つくづく思ったことは「一緒に集って生の音楽を聴く」「仲間が集って演奏する」という、今までなんでもないように思っていたことがどんなに素晴らしいことだったのか、ということでした。(頭の中では繰り返し「ロード」のさびが流れています。)

現状においてはまだまだウイルスに翻弄されそうですが、「生の音楽」の感動を求めて演奏会にいらしてくださる市民の皆様の笑顔が見られますよう、今、私たちができる事を誠実に積み重ねていく、そんな活動を今年も続けて参りましょう。
函館音楽協会には、会員みんなでこの試練を乗り越えてゆく、そんな底力がある、と思っています。
皆様、本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

函館音楽協会会長 石丸典子
会報「カリヨン」新春号(2022年1月1日発行)より