新年のごあいさつ

皆様、新年いかがお過ごしでしょうか。昨年も函館音楽協会の活動にご理解・ご協力をいただきまして、ありがとうございました。本年も、どうぞよろしくお願い申し上げます。
 さて、先月の上旬に、札幌のある放送局の方から当事務局に問い合わせメールがきました。「先代函館駅舎に設置されていた青い大時計の時報の音源が懐かしく、改めて聞きたい」という視聴者からの投稿をもとに調査しているのだそうで、音源は見つかっていないが、そのメロディを作曲したのが根上義雄さまという情報があったので、函館音楽協会になにか資料が残っていませんか、という内容でした。
これという手掛かりがない中でネット検索した「函館駅」のウィキペディアには、堀井敏雄著「函館駅百年物語」に『1953年(昭28)函館駅に大時計が設置され、根上義雄作曲の時報オルゴールが流れた』と確かに記されていました。また「函館市史通説編47編2章コラム31」に、昭和11年、林喬木氏、酒井武雄氏、根上義雄氏が函館音楽協会を立ち上げた、と記してある頁にたどり着きました。
昭和9年の大火によって停滞を余儀なくされた函館の音楽会を甦らせ活発化しようとした創立者の当時のご活躍ぶりやそのご功績については圧倒されるばかりで、調べに没頭したのはほんの一時でしたが、非常に感慨深く、会務に携わっている後継者の一人として、改めて身の引き締まる思いがしました。
後日届いた差出人からのお礼メールには「青い大時計の時報オルゴールは、おそらく国鉄時代に騒音問題のため外されてしまったようです」とありました。函館在住でお一人だけ“その音色を聴いた記憶がある”という方の情報を得ましたが、私も聞いてみたかったなぁと思いました。函館音楽協会は、来年創立90周年を迎えます。

函館音楽協会会長 石丸典子
会報「カリヨン」98号(2025年1月1日発行)より