令和7年度函館音楽協会春季定期演奏会 および 令和6年度函館音楽協会賞受賞記念演奏会

5月25日(日)13:30より、函館市芸術ホールに於いて令和7年度函館音楽協会春季定期演奏会および令和6年度函館音楽協会賞受賞記念演奏会が開催されました。
定期演奏会は当会会員の研鑽の場として春と秋に年二回開催しており、春季定期演奏会は長年の演奏活動等において郷土の音楽文化向上の推進力となった個人・団体に贈られる函館音楽協会賞受賞者の受賞記念演奏会も兼ねています。

今回は一般8組、令和6年度協会賞受賞者として畑中一映氏(ピアノ)、女声コーラストリル(合唱)、三笠裕也氏(音楽教育・指揮)の3組、計11組が出演をいたしました。

一般出演では、ピアノ独奏、ソプラノ独唱、ヴァイオリン独奏、フルート・アンサンブルが演奏され、個々が持つ世界観を表現していました。その後続いた協会賞受賞記念演奏では、まず畑中一映氏がピアノ独奏でバッハの楽曲を披露。技巧的難曲として知られているブゾーニ編曲の『シャコンヌ』を華やかに演奏しました。続いて女声コーラストリルが現代邦人作曲家の作品を弦楽五重奏とともに演奏し、女声コーラスならではの幅広い表現力で繊細さと力強さを見事に表現しました。最後に、三笠裕也氏は自身が音楽監督を務める北海道教育大学函館校吹奏楽団を指揮。日本初演の「Thawing」(作曲:下田和輝)をはじめ全5曲を迫力あるサウンドで披露しました。
会場には330名ほどのお客様にお越し頂き、盛会にて終了できましたことを御礼申し上げます。

受賞者の皆様よりコメントをお寄せいただきました。


◇令和6年度函館音楽協会賞 畑中 一映 氏

この度の歴史ある函館音楽協会賞受賞にあたり、心より御礼申し上げます。2005年に函館に戻り20年になりますが、道南音楽家集団クレアシオン、ヴォーカル・アンサンブルノイン、函館MB混声合唱団などを通して音楽活動を継続して参りました。ピアノは本間郁子先生、万田眞一先生、布施谷信子先生、遠藤道子先生、合唱は栄田武志先生(上湯川小学校)、信田誠先生(戸倉中学校)、大森清先生(函館中部高校)、長内勲先生(北海道大学合唱団)に学生時代教えを賜りました。素晴らしい指導者と音楽仲間に恵まれ、音楽活動を継続していられることを嬉しく思います。

協会賞受賞演奏はこれまで取り上げてこなかったバッハに挑戦することとしました。ブゾーニ編曲のシャコンヌは原曲からかけ離れていると評されることもありますが、ブラームスが既に左手のためのシャコンヌで原曲に忠実なピアノ版編曲をしていたので、ブゾーニはマタイやヨハネ受難曲で歌われるアリアやコラール、合奏をイメージし、バッハの宗教的な世界を表現したものと解釈しました。この壮大な世界観・音楽観を、人生を積み重ねていく中でより深く理解し、表現する手段としての音をこれからも探していきたいと考えております。私達を取り巻く環境は急速な勢いで変化していますが、受け継いできた伝統を大切にしつつ、新しきを取り入れ前へ進む気持ちを忘れずに音楽活動を継続して参りたいと思います。今後ともどうぞ宜しくお願い致します。


◇令和6年度函館音楽協会賞 女声コーラス トリル

この度函館音楽協会賞をいただき誠にありがとうございます。女声コーラス トリルは昭和63年に発足し、令和5年に創立35周年を迎え、記念演奏を終えたところでした。今回の受賞演奏では35周年のプログラムからグランドチャイムの入った1曲とピアノ五重奏伴奏による2曲を楽器とのコラボを意識して選曲してみました。普段の合唱演奏は当然ピアノ伴奏中心ですが他の楽器が入ることによって大幅に音色が広がって新鮮に感じます。合唱は極めて速いスタッカートの連続や逆に遅くて長いレガートなど難しい曲でしたが、ご招待した4人の弦の皆さんとピアノの五重奏は本当に美しく、合唱もまたそれに乗って表情豊かな演奏になったように感じます。聴かれた皆さんにもそれが伝われば幸いです。

トリルは30代から80代まで幅広い年齢層で構成されています。80代でも上手くコントロールして、曲にプラスになるような歌い方をしています。年齢や個性でそれぞれの役割を補うようにして作品を仕上げていくことは大変楽しいことです。これからも大きく変わることなく地道にトリルの合唱を追求していこうと思っております。
最後になりましたが今回の演奏に際しまして音楽協会の皆様にいろいろご配慮いただきました。本当にありがとうございました。(トリル指揮者 大坂吉明)


◇令和6年度函館音楽協会賞 三笠 裕也 氏

この度、函館音楽協会賞という栄誉ある賞を拝受し、心より感謝申し上げます。音楽教育の実践と吹奏楽の普及に携わる中で、この受賞はこれまでの歩みを振り返る貴重な機会となり、大きな励みとなりました。
これまで、音楽教育や吹奏楽指導を通じて、子どもたちが生涯にわたり音楽と親しみ、その力を実感できるよう努めてまいりました。その取組を評価いただいたことに、身に余る光栄を感じるとともに、支えてくださった皆様の温かなご支援に改めて深く感謝申し上げます。

音楽は人の心を育み、人生を豊かにする力を持っています。その力を信じ、指導者として歩んでまいりました。今回、北海道教育大学函館校吹奏楽団が演奏を快く引き受けてくださり、演奏会では作品の深遠な響きを見事に紡ぎ、聴衆の心に刻み込む素晴らしい演奏を披露してくださいました。また、作曲家・下田和輝氏のミッドウェスト・クリニック国際コンクール作曲賞第1位受賞作品「Thawing(雪解け)」を日本初演できたことは、新たな芸術的価値の創出につながり、音楽の新たな地平を拓く価値ある機会となりました。学生たちの真摯な姿勢と、下田氏のご協力に心より感謝申し上げます。
この受賞を機に、今後も音楽教育や吹奏楽の発展に尽力し、音楽を愛する皆様とともに、その響きを未来へ紡いでいけるよう精進してまいります。改めて、心からの感謝を申し上げます。



令和7年度函館音楽協会春季定期演奏会
令和6年度函館音楽協会賞受賞記念演奏会

日時:令和7年5月25日(日) 13時00分開場 13時30分開演
会場:函館市芸術ホール 
チケット:一般1000円 学生500円(中学生以下無料)
チケット取扱:函館市芸術ホール 55-3521
      ㈱河合楽器製作所函館ショップ 52-2468
お問合せ:080-6859-8462(コンサート専用)

後援
函館市 函館市教育委員会 公益財団法人函館市文化・スポーツ振興財団
函館市文化団体協議会 (株)河合楽器製作所函館ショップ
(株)ヤマハミュージックジャパン函館店 北海道新聞函館支社 函館新聞社
NHK函館放送局 FMいるか NCV函館センター


◇ プログラム ◇

1 ポロネーズ 第5番嬰へ短調 Op.44 F.ショパン
 
 ピアノ 佐々木由美子

2 Nostalgia (郷愁)   H.ハイネ / P. チマーラ
 歌劇「エジプトのジュリオ・チェーザレ」より 優しい眼差しよ N.F. ハイム / G.F.ヘンデル

 ソプラノ 鈴木 亜衣
 ピアノ  中田久美子

3 埴生の宿 J.H. ペイン / 里見義 訳詞 / H.R. ビショップ
 見よ, 優しいひばりを W. シェイクスピア / H.R. ビショップ

 ソプラノ 金木 彩子
 フルート 水上 知歩
 ピアノ  畑中 佳子

4 ヴァイオリンソナタ イ長調 FWV8 第4楽章  C. フランク

 ヴァイオリン 有岡 琴美
 ピアノ 寺井 かえ

5 イギリス組曲 第2番 イ短調 BWV807 J.S.バッハ
 プレリュード,アルマンド, ジーグ

 ピアノ 太田 絵里

6 ゴールドベルク変奏曲 BWV988 より アリア J.S.バッハ
 ノクターン 第8番 変ニ長調 Op.27-2 F.ショパン

 ピアノ 安藤 陽子

休憩

7 しぐれに寄する抒情  佐藤春夫 / 平井康三郎  
 秘唱  西条八十/平井康三郎
 AIYANの歌  北原白秋 / 山田耕筰
 さくら横ちょう  加藤周一/別宮貞夫

 ソプラノ 鈴木 麻里
 ピアノ  高橋セリカ

8 小組曲  C. ドビュッシー/P.プルースト編曲

 I小舟にて Ⅱ行列 Ⅳバレエ
 
 フルートI  松石 隆
 フルートII 水上 知歩
 ピアノ   類家 唯

令和6年度 函館音楽協会賞受賞記念演奏

I  平均律クラヴィーア曲集 第1巻より プレリュード第1番 ハ長調 BWV846 J.S.バッハ
 シャコンヌ J.S.バッハ=F.ブゾーニ

  ピアノ 畑中 一映

Ⅱ 女声合唱とピアノのための 「雪崩のとき」より “Miserere Nostri, Domine” 賛歌より/松下耕
  女声合唱とピアノ五重奏のための「いのりカンタービレ」より なだいなだ / 信長貴富
  Ⅲ. 演説風スタッカート ~ベートーヴェン交響曲第九番第二楽章に寄せて~
  Ⅳ. いのりアンダンテ ・カンタービレ ~チャイコフスキー交響曲第五番第二楽章に寄せて~

  女声コーラストリル
  指揮  大坂 吉明
  ピアノ 後町 久子
  ヴァイオリンI 市川 映子 ※
  ヴァイオリンII 渡辺 拓也※
  ヴィオラ 有岡 琴美
  チェロ 藤田 淳子※

Ⅲ Thawing   下田 和輝
(2024年ミッドウェスト・クリニック バーバラ・ ビュールマン作曲賞第1位受賞作品, 日本初演)他

  指揮 三笠 裕也
  北海道教育大学函館校吹奏楽団 ※

※賛助出演