平成21年度函館音楽協会春季定期演奏会

img001.jpg平成21年度函館音楽協会春季定期演奏会が5月16日(土)18時30分から、函館市芸術ホールにて開催されました。ピアノソロ、ソプラノ、弦楽合奏、リコーダー、フルートなど、9ステージが披露されました。
平成21年度 函館音楽協会春季定期演奏会
■日時/2009年5月16日(土) 開場18:00 開演18:30 
■場所/函館市芸術ホール(ハーモニー五稜郭)
■料金/一般1000円 学生700円
■主催/函館音楽協会



平成21年度 函館音楽協会 春季定期演奏会を終えて
幹事長 高橋吉隆

この度の総会にて幹事長を仰せつかりました。微力ではありますが、少しでも会員の皆様や函館音楽協会のお役にたてればと思っております。どうぞよろしくお願い致します。
 さて、これまでは春季定期演奏会幹事として関わらせていただいておりましたので、この5月に行われました春季定期演奏会までは企画、運営を担当いたしました。その関係から、春季定期演奏会の様子などをお知らせいたします。
 今年度の春季定期演奏会は、バロック、古典派、ロマン派、現代日本歌曲にわたり演奏され、楽器構成もピアノ、声楽、リコーダー、フルート、弦楽合奏とバラエティーに富んだステージとなりました。
中でも、リコーダーとフルートのステージでは、伴奏楽器としてチェンバロが使用されましたが、両ソロ楽器のピッチの違いから、2台のチェンバロがステージに向かってハの字型に準備されました。それぞれがもつ独特の音色、そして音量の違いを同じ演奏会で聴ける機会はそうなく、とても興味深く、また新鮮に聴くことができました。
 また、昨年度に引き続き、弦楽合奏の出演がありました。函館の弦楽器奏者人口はそう多くないため、奏者を育てていくにはそれなりのご努力とご苦労があろうかと思います。弦楽に対する出演者の熱意や思いが伝わってきたステージでした。
 今年度は9組のステージでした。紙面の関係上、出演者全員については紹介できませんが、皆様のこれまでのご研鑽に敬意を表するとともに、会員の皆様の益々のご活躍を期待し、ご報告とさせていただきます。



《春季定期演奏会に出演して》

木村 久美子

久し振りに、定期演奏会に出演しました。入会してから4回目の出演です。
ここ数年、病院でのロビーコンサート、子供たちが集まる小さな学習塾でのミニリサイタル、指導している社会学級コーラス部の演奏会でなど、歌い続けてきているのですが、もっと多くの方々に、いろいろな歌曲を聴いて欲しいと考えての出演でした。
今回演奏した『風に寄せてうたへる春の歌』は、1922年(大正11年)に山田耕筰が友人の結婚を祝して、三木露風の八篇から成る詩の中から四篇を選んで作曲したもので、いずれも明るく色取りゆたかな春の讃歌で、あわせて美しい恋を讃える内容も含んでいる作品です。山田耕筰の歌曲といえば、誰しもが「赤とんぼ」「からたちの花」「この道」などを思い浮かべるでしょう。親しみやすく、美しいメロディーのこれらの曲は誰でも口ずさむ歌ですが、山田耕筰には交響曲・独奏曲・室内楽など数多くの作品があり、歌曲だけでも数百曲にも及びます。しかし、演奏される機会の少ないものもあり、残念な事に思います。
交響曲・器楽曲・室内楽など、音楽の様々なジャンルの中で、“声楽”の持つ大きな特色は“言葉を持つ”点にあります。歌劇が音楽と演劇の結びつきであるとするならば、歌曲は詩と音楽との融合から生まれた作品であるといえます。三木露風、北原白秋らの詩人と出会い、山田耕筰は西洋強弱アクセントとは全く異なる日本語の高低アクセントと旋律の一致という、当時としては画期的な作曲理論により、美しい歌曲を生み出しました。それらは今日にも歌われ、現代の作曲家によって新しい歌が作曲されている礎となっていると思います。そして、それ故に歌曲の演奏に際して欠かすことのできないのが、ピアニストの存在です。単に歌に合わせるのではなく、ピアノパートの音楽(役目)を理解し、詩を読み、歌い手の気持ちに添いながら、しっかりと自分の音楽を持つ…それらが要求されるのが「伴奏者」と呼ばれるピアニスです。今回、かつて同じ大学で学び、現在は「北海道日本歌曲研究会」の会員として共に学ぶ仲間である、近江宏氏に協力を得られた事に深く感謝しています。
また、今年度は函館音楽協会の幹事の一員となりました。音楽の素晴らしさを少しでも多くの方に伝える事ができるように、力を尽していきたいと考えています。



■プログラム/
J.ブラームス:2つのラプソディー Op.79より 第1番 ロ短調/中川正子(p)
木下牧子:歌曲集『愛する歌』より 1.誰かがちいさなベルをおす 2.ロマンチストの豚 他/堀川智美(S)畑中佳子(p)
山田耕筰:風に寄せてうたへる春のうたより Ⅰ.青木臥床をわれ飾る Ⅱ.君がため織る綾錦 他/木村久美子(S)近江宏(p)
J.S.バッハ:ブランデンブルグ協奏曲第4番 ト長調 BWV.1049より第1・第3楽章/嶋田利子(solo vn)・松石隆(fl solo1)・太田茉莉栄(fl solo2)田中信・丸山徹・山本美和子(1st vn)・前田由季・松尾嘉子・土谷真吾・福中香織(2nd vn)石黒浩治・小関久美子(3rd Vn)宮入健郎(p)
G.P.チーマ:リコーダーと通奏低音のためのソナタ G.F.ヘンデル:ソナタ ハ長調 HWV.365/宍戸良子(リコーダー)森洋子(チェンバロ)
J.S.バッハ:フルートとチェンバロのためのソナタ ロ短調 BWV.1030/松石隆(fl)森洋子(チェンバロ)
J.ブラームス:6つの小品 Op.118より 間奏曲 バラード ト短調 他/亀井久美子(p)
G.ヴェルディ:歌劇『椿姫』より ああ そはかの人か/北條美恵子(S)堀内由美子(p)
W.A.モーツァルト:ソナタ イ短調 K.310より 第1・第3楽章/石田雅代(p)
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