8/7 第37回 学生コンサート

img012.jpg平成21年度函館音楽協会 第37回学生コンサートが8月7日(金)18時30分より函館市芸術ホールにて開催されました。
今回はヴァイオリン、声楽、ピアノソロ、クラリネットなど10ステージが披露されました。
第37回 学生コンサート
■日時/2009年8月7日(金) 開場18:00 開演18:30
■場所/函館市芸術ホール(ハーモニー五稜郭)
■料金/1000円
■主催/函館音楽協会



第37回 学生コンサート 
久しぶりに聴いた、その感想を少し・・・
副会長 宮崎 敏

今年の函館は、夏とは思えない異常気象と言ってもよいくらいの7月の雨、そして8月になってもさっぱり暑くならない毎日、そんな日々が続いていました。そのような中、8月7日は、久しぶりにそれを吹き飛ばすような、さわやかな雰囲気に囲まれたコンサートに出会いました。
 このコンサートについては、感想を含め何でも良いから“カリヨン”に原稿を書くように、事務局の担当者から依頼されていました。個人的に申し上げますと、私は現役で仕事をしていた頃、8月のこの時期は何かと行事があり、この学生コンサートをあまり聴いていませんでした。その意味では本当にしばらく振りで聴かせてもらいました。
 まずその感想のひとつは、なんと言ってもその若さ、音楽に向かう姿勢の素晴らしさ、そしてその努力を見させて、聴かせてくれたことに、お礼を申し上げたいと思って帰ってきたのが第一でした。ありがとうございました。
 プログラムの中で吉田淳子会長も触れておりましたが、北海道教育大学函館校の音楽コースが無くなって、今後のこのコンサートのあり方について心配されていました。しかし、今回のコンサートを聴いていて、これは函館の音楽が盛んな一つの側面と、教える先生方の努力かとも思いますが、その函館出身の皆さんが全国各地の(ちょっとオーバーかな?)大学等で勉強して、こうして出演したわけで、これからの学生コンサートの方向性に一つの希望を与えてくれたことでもありました。清水信勝先生も話しておりましたが、出演者のほとんどが地元出身者となったのも久しぶりのことでありました。函館以外のいろいろな所で勉強され、その成果を函館に戻って伝えてくれる、ということも大事なことかなとも思いました。
 演奏曲等については別項で記載されているので、個々にその演奏については触れませんが、全体を通しての、本当に素朴な感想を少し書きましょう。
 プログラムを見ていて気が付いたのですが、学年順の出演になっていたのですね。それで納得することが多々ありました。「学生コンサート」として、出演者をひとくくりで見ていたのですが、プログラムが進むにしたがって、技術的なことは別として、音楽に対する意識の違いがあるのを感じたのです。それは一年生だから単に若い、ということではなく、音楽に対するその思いの深さに違いを感じたのです。もちろんひとり一人を見た時は、また違ったことも言えますが、年齢を重ねるということ、大人に近づくという、中学や高校時代ではない、この今という時に意味があるのではないでしょうか。これらのことは、これからいくつになっても言えることで、学生を卒業したらおしまい、ということではなく、さらにその先があるということでしょう。そういった意味では、皆さんの今後のますますの努力を期待します。
 音楽で何かを表現し伝えていくには、当然まずその技術的な問題を克服しなければなりません。その点では、皆さんのその努力のあとはしっかり感じますが、残念ながら小さなミスの多い方もいました。思い当たる方はさらに努力してください。でも、これは誰にとっても永遠の課題でしょう。ですからみなさん、さらに頑張ってください。
 でも、その反面に、ミスもほとんど感じさせず、かなり良い音をつくって演奏しているのに、何を表現したいのか、何を伝えたいのか、自分はこのように音楽を感じているのだ、といったことの伝わってこない方もいました。これも問題です。音楽を通して自分は何をしたいのか、今一度考えてみて欲しいのです。さまざまな面からさらに勉強し、努力してください。
 苦言を少し書きすぎましたが、それは今後さらに大きくなっていって欲しいわけで、決してこのコンサートが良くなかったといっているわけではありません。冒頭に書いたように、すがすがしい若さと、その努力にまず感心したことは確かですから。
 感想のおしまいにあえて取り上げると、器楽の最後に演奏されたメンデルゾーンの、丁寧に弾きこまれていて安定感ある演奏だったこと、また、声楽の最後のテノールも、しっかり歌い込んだ良い響きで音楽を聴かせてくれたこと、を書き加えておきます。
 最後に、担当幹事さんのご苦労はたいへんだったことを想像しますが、もう少し聴いてくれる方が増える方法はないのでしょうか?せっかくのコンサートなのに、聴衆の少なさに驚いたのです。しばらく振りで聴いた私が申し上げるのもちょっと変ですが・・・。 
申し訳ありません。ひとまず幹事のみなさま有難うございました。お疲れ様でした。



《学生コンサートを終えて》

坂本晃一

この度、音楽協会主催の学生コンサートに出演させていただきました。演奏の機会を与えてくださった、函館音楽協会の皆様、担当幹事の先生方に、心より感謝申し上げます。
今回初めて学生コンサートの出演と相成ったわけですが、改めて音楽と言うものについて考えさせられた点が大きかったように思います。「 敗れた恋の再燃」を歌ったもの、「神の敵を討ち滅ぼさん」と歌ったもの、「恋人との幸せの絶頂」を歌ったもの、全く毛並みの異なる三曲でしたが、それを歌いきるテクニック面はもとより、それぞれの曲を歌うにあって、自己の内から湧き上がってくるモノをどう解釈し、どう伝えればよいのか、ということの大切さを改めて感じることになりました。 そして何より、そんな演奏者の端くれの一人に過ぎない自分を支えて下さった多くの方々のお陰でステージに立てているのだ、ということの感謝の気持ちです。
手垢にまみれた、月並みの言葉ではありますが、生まれ育ったこの函館で、多大なご迷惑をおかけしながらも学べたことの幸せさ、ということを改めて噛み締めた次第です。今の自分の演奏がその恩返しになる、という大それたことはとても言えませんが、少しでもそれに近づけるよう、これからも努力していきます。
 最後に、各地で勉強している同世代の方々と共演し、また勉強させていただく機会を与えて下さり、本当にありがとうございました。
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■プログラム
1.田中 信(Vn) 函館工業高等専門学校4年
E.ラロ/スペイン交響曲 作品21 第1、5楽章
 吉本有佑(p) 北海道教育大学大学院教科教育専攻音楽教育専修終了
2.高神麻由(S) 北海道教育大学岩見沢校芸術課程音楽コース声楽専攻1年
E.Pトスティ/セレナータ
同/口づけして
 阿部香緒(p)
3.佐々木彩未(p) 札幌大谷大短期大学部音楽科ピアノ専攻1年
D.スカルラッティ/ソナタ 第28番 K.211 イ長調
F.ショパン/練習曲 第4番 嬰ハ短調 作品10-4
4.大山未方(p) 国立音楽大学音楽学部演奏学科鍵盤楽器(ピアノ)専修1年
C.サン=サーンス/アレグロ・アパッショナート 作品70
5. 岡田 彩(S) 東京音楽大学音楽学部音楽学科声楽専攻3年
普久原恒勇(坂田晃一 編曲)/芭蕉布
P.マスカーニ/《友人フレッツ》より わずかの花を 
E.W.コルンゴルト/《5つの歌》より 私の恋人の瞳は
高橋きよみ(p)東京音楽大学音楽学部器楽(ピアノ)専攻2年 
6.古湊 優(cl) 東京音楽大学音楽学部音楽学科器楽専攻クラリネット3年
N.ブルグミュラー/デュオ 変ホ長調 作品15
水戸博之(p) 東京音楽大学音楽学部作曲指揮科(指揮)3年
7. 阿部四季穂(P) 昭和音楽大学器楽科ピアノ音楽コース4年
F.リスト/ポロネーズ 第2番 ホ長調
8. 川村佳菜恵(P) 札幌大谷大学音楽学部音楽学科ピアノコース4年
F.メンデルスゾーン/厳格な変奏曲 二短調 作品54
9.山本彩恵子(S) 昭和音楽大学専攻科声楽専攻在学中
E.P.トスティ/さようなら
G.ドニゼッティ/歌劇《ドン・パスクァーレ》より あの目に騎士は
阿部香緒(p)
10.坂本晃一(T) 京都市立芸術大学音楽学部声楽科4年
G.ドニゼッティ/溜息
G.F.ヘンデル オラトリオ《メサイア》より 第42番 天に座するものは笑い 第43番 彼は黒鉄の枝をもて彼らを打ち砕き
G.ヴェルディ/歌劇《椿姫》より 燃える心を
伊藤亜希子(p)
■お問い合わせ/090-9432-4063(事務局)
■チケット取扱/
・函館市芸術ホール 0138-55-3521
・カワイ函館ピアノセンター 0138-52-2468
・ヤマハミュージック北海道函館店 0138-2-2982